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File No.001/サーフャー 中学生の僕に毎日、新聞を読むという習慣はないのだが、この日はたまたま他に見るものもなく新聞を手にとった。一通り目を通すと「サーファーら波に飲まれ水死。」隅の方に小さな記事を見つける。別にお盆のこの季節、そんなニュースは毎日のように飛び込んでくるのだが、この事件に妙な疑問と胸騒ぎを覚えた。。 そんな事も忘れて、僕は高校卒業後進学し大阪のとあるデザイン学校に入学したのだが、その寮(当時短期間だけ寮に入っていた)で友人やらと地元の話で盛り上がった時のこと、旅行専門学校のヤツがぼそりと口を開いた
「あの、僕が中学生の頃なんやけどな、、僕の島は毎年サーフャーがぎょうさん来よーるねん。そら、事故も多いんやけど、、あぁ、観光客のやで!僕ら地元は小さい頃からの浜やさかいにおぼれたりもせーへん。観光客はあかん。そやけどある年だけ、地元の、、僕の先輩が波に飲まれてしもた事があったんや。。。」 彼はそう言出すとゆっくりと当時の事を話してきかせた。 その島は毎年夏になると多くの海水浴客やサーフャーでにぎわう。全国的に見ても有名な夏の観光地になっているが、案外夏を過ぎるとひっそりとして寂しい田舎になってしまう。若者はみな地元の高校を卒業すると同時に神戸、大阪、京都と都会に出ていってしまう。彼らもまた例外ではなかった。林田時夫(仮名)は地元でもちょっと名のしれたアマチュアサーファーとして一目置かれていたのだが、彼の幼なじみもみな彼を別にして、都会への就職、進学が決まっていた。 「おぅ!時夫!おまえはココで絶対にプロのサーファーになれよ!!」そんな言葉を残して一人、また一人と島を出ていく・・。「5年後の夏に会おう」それが彼らの合い言葉だった。 そして約束の5年後の8月14日。約束の日に幼なじみ達は時夫の実家が経営する海の家へと集まりはじめた。 食事が運ばれ、ビールを飲みそしておのおの近況報告をする。5年ぶりに見るみんなの顔はわずかにたくましさもうかがえる。。 「遅いな〜時夫・・・」そんな声を聞きふと時計を見た。11:38。ちょっと遅すぎやしないか・・・。 そうや、今にはじまった事でもない。時夫の客に手を出す早さは昔から変わってない。。 もうみんなも12時を越えた時点で「今日は帰らないもの」と判断し、さんざん酒を飲み笑い、そして夜もふけていった。。
ガラガラー
突然玄関の開く音。・・・・時夫?帰ってきたのか?
みんなは遅すぎるヒーローの、ふすまを開けて入ってくるその瞬間を待った。が、いっこうに気配がない。あれ、何しとんねん!そう思い玄関を覗いてみる。 「こんばんわぁ〜」か細い声でそこには若い警察官が、真っ青な顔をして立っていた。 「あ、、、はい。。何か・・・」 「・・、は、林田さんのお宅ですね?」 「僕は家族じゃないですけど、この家はそうです」 「ちょっと確認したいのですが、時夫さんはいらっしゃいますか?」 「・・いや、、僕らも今夜会う予定をしてたんですが、まだ帰ってないですねー。女の所ちゃうか?言うてるんですけどね、ははは。何かありましたん?」 「・・・いや、、、、ちょっと、、海で溺れられたらしくって、、」 「は?!」全員の動きが止まる。ちょ、う、海で溺れるって、あいつはこの島の海やったら家の庭ほどによう知っとる。そんなやつが溺れるやなんてあり得るかいな!「いや、、人違いちゃいますかね!時夫はここの海はよう知ってます!溺れるやなんて・・」 「えぇ、それは我々も存じております。が、それを確認の為同行願いたいんですが。。」
警官もそう言うのだ、我々も直接確認しない事には納得できない。全員海の家を出るとその警官についていった。「なぁ、すんません、、ほんまにおぼれよったんですか?」「ほんまに時夫でっか?」「おっちゃん、時夫がどんなヤツか知ってまんのん?」口々に警官に責めたてるが、帰ってくる言葉は「えぇ、」とか「はぁ」とか言葉にもならない返事ばかりだった。みんな絶対に人違いであると信じて疑わなかった。なぜなら、溺れる原因が何一つ思いつかないのだから。
とぼとぼと警官についてゆき海岸まで出ると、どうやら人だかりと警察のライトが見える。あそこが現場らしい。若い警官は小走りに走ってゆき、上司であろう人物に確認を取っている。我々は歩くのをやめた。その物々しさが時夫でないにしても、誰かが亡くなったのだという事実を実感させ、息をのんだ。 先ほどの警官が小走りに戻ってくる。「では、、、あちらなのですが。。」と現場を指さす。我々は近づくにつれその遺体らしきモノを見つける。遺体には白い布がかぶせられ救急隊のストレッチャーにはまだ乗せられていない。
?!
同時にみんなが違和感を感じた。何かがおかしい。。 「おっちゃん!アレほんまに時夫やろな!」かみつくように警官に尋ねる 「では。。。」と一人の警官が白い布を顔の部分だけめくる。。
?! と、ときお!!・・・・!
それは紛れもなく時夫そのものだった。。まさか・・・。
ヒデキは目の前の出来事と現実をなんとか一致させようと試みる。
ト、キ、オ、ガ、死、ン、ダ、
死、ン、ダ、、
・・・・何、カ、ガ、オ、カ、シ、イ・・・
何かおかしい!!なんでや??!
・・・・そ、そや! この布を被せられた死体は、ふつうの人間にしてはやけに胴体が長いんや!!!。なんでや? そう、この布がかぶせられた死体は、人間のその長さの約1.5倍程の長さがあった。 この死体全部見るまでは納得できひん!顔だけでは絶対に納得できん!!
ヒデキはそう思うと警官に向かって「おっちゃん、、時夫や。間違いない。そやけど全部見んことには、時夫の家族に説明できんねん!。布とって見てもええか?」 「・・いや、、それはできん!」警官が強い口調で遮る。 「なんでやっ!なんでアカンねんっ!」 「見せるわけにはイカンのや!」 ち・・・っ、ヒデキは素直にあきらめたかのように見せかけた、その瞬間! 死体にかけてある布を手に取ると一気に引っ張った!!
な、、、ナニや?コレ!!!!!!!
むきだしになった時夫の遺体の腰から下には、3日前に海で行方不明になった老婆が、 がっしりとしがみついていたのだ。
その当時の新聞は「サーファー(23)と女性(72)が海で水死」とだけ書いてあった。お盆のまっただ中に起こった事件で、日付も場所も一致し記憶には残っていたが、この旅行専門学校のヤツにはあえて言わなかったが、ものすごく信憑性の高い話であったように思う。
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