4日目

「伊藤さん、歯痛ない?」谷口君が心配してくれる。けっこう優しいやん。誰や「人の不幸は密の味」なんて言うのは…。

「ありがとう。噛んだら痛いけど、普通にしてたら大丈夫。」

「ふーん…。」 な、なんや、『ふーん』って。でも、きっと心配してくれてるんやんな。ありがとう。

 

「何食う?」青木君が聞いてくる。そっか、もう10時廻ってるんやもんな。結局みんな今までウダウダーってしてたんか。てっきりビーチにでも行ってると思ってたわ。

「あんな、下の交差点でホットドック売ってるやん。あれむっちゃウマそうじゃない?」

おー、やっぱり青木君、目つけてたか…。

「それ食いに行こか。ほんで、買物でもして午後からビーチ行こか」と小山さん。

おっ、ポケットからザラザラーってなんか出したで。

「何ほれ?」

「ハードロックカフェのバッジ。昨日な、帰りしないに谷口君がな…」

「そうそう、ウエイトレスの姉ちゃんがそのバッジ付けてやーて、くれへんかな?思って聞いてみてん。そしたら、下のカウンターで言ったらくれるでって」と谷口くん。

「知ってるで。みんなもらってたやん。2個づづ。でもなんでそんなにあるの?」

 

「違うねん。普通に言ったら1個か2個しかくれやらへんねん。でもな、ウエイトレスの姉ちゃんな、コンチャカード見せてみ。って教えてくれてん。あんまし内緒やけどって。ほんで、今日、僕と小山さん見せてんか。そしたらなんぼでも持っていってくらいって」

「す、すごいな…」コンチャカードってどういう権力を持ってるんやろ…。このカード、知らんかったら使わへん人おるで。 …それより今気付いたんやけど、谷口君グアム初めてなんちゃうん? なんでコンチャカードについてこんなに詳しいんやろ、この人…。

 

 

で、簡単に準備を済ませホテルの坂を下っていく。

「今日で最後やなー。」

「そやなーっ」

 

6人で、てくてく。

 

お、あいかわらず交差点でホットドック売ってるよ。

ちょっとみんなで屋台を遠巻きに囲ってみる。

ふーん。

 

・・・・・。

 

「中にラーメン屋あったで!!」と、プラザ(ショッピングプラザ)を指差して谷口君。

「おーっいいねぇ」とみんな。

「トモコ、ラーメンがいい!!」

よしよし。ラーメンにしよ。噛まんでもいい方がありがたい。

で、さんざん屋台を囲ってプラザへ。

 

 

何にしよかな。でも、なんかみんな疲れてるな…。なんや、もうメニュー決めてるやん。なんでもいいわって感じやな。

「じゃぁ、ミソラーメン」

で、みんなおのおのオーダーを済ませる。

「ドリンクは?」そういえば、どこの店いっても飲みもの聞いてくるな。

「バドワイザー」ほんまお茶がわりやな。

 

みんな無言や。 ・・・・ビール飲も。

 

おー、きたきた。ウマそー。野菜もいっぱいのってるし、ちゃんと別で炒めてあるやん。

ちょっとダシをすすってみる。

「あっ、思ってたよりうまいやん」でもな、なんでラーメンセットがカレーなんやろな。目の前のメニューを見て不思議に思う。「なぁ、なんでセットがラーメンとカレーなん?」谷口君に聞いてみる

「さぁ?」うわっ、振り向いてもくれへん。さみし。なんでカレーなんやろ。なんで?なんで?

 

 

痛っ! アカン!!、歯が痛い。やっぱり噛んだらアカンなぁ。

で、頑張ってラーメンをすする。おいしいなぁ。でもせっかくの野菜は食べられへんわ。噛まなアカンし。もったいないなぁ。残してゴメンな。

 

はー。満足。こういうのを腹八分目って言うんやろな。

 

「ほなここで解散な。みんな帰ってきたころでビーチ行こう」ラーメン屋を出てそういう。僕はここの民族店でお面を見てから帰ろう。毎年ここのショップでお面買ってんねんかな。まだあの店長居てるかな?

 

「まいどー。」あれ、人、代わってるがな。とりあえず見てみる。

おっ、なんやここも安くなってるやん。去年買ったんがバカらしいな。でもせっかくやし1体買っとこ。

 

さ、ホテルに戻ろ。お面を一体かかえてショッピングプラザを出る。交差点で呼び込みの兄ちゃんにつかまる。

でも、彼等は僕が今晩日本に帰るの知ってるんやな。

「こんにちわ。」

「何もってんの?」

「お面。そこで買ってきた」

見せて見せてー、でもう一人黒人の方がやってくる。いきなり交差点で梱包袋から取り出す。オイオイ。

「ほーっ変わったお土産やな。」

「ん。僕のコレクション!!毎年ここで買ってるんやで」

「OKOK いい趣味してるよ」

「ありがとう」

「このシャツもね!!」僕はハーレーダビッドソンのシャツを着てたんよ。でも、シャツが褒められるとは思ってなかったな。なんかうれしいな。

「ありがとう。バイバイ」兄ちゃんらに別れを告げる。

 

 

さ、坂を上って、部屋でビールでも飲もかな。

 

 

 

伊藤、夢を見る

 

 

アカン!!寝てしもてる。みんなまだ戻ってないなぁ。買物か〜。お土産って大変やな。お金かかるし。でもみんな楽しんでるし、いいやんな。

おっ、もう1:30やん。あと半日で終わりやな…。

そういえば今、夢みてたな。ホテルの前のタクシーの運ちゃんに『タロフォフォの滝まで往復50ドルで行ってくれ』って無茶な交渉してる夢やったなぁ。行きたいなぁ。タロフォフォの滝、50ドルでは無理やろな…。でも心残りやな。今回の旅行の僕の目的はビーチでもなく、買物でもなく、タロフォフォの滝やったんやもんな。 ジャングルリバーに期待してたけど不発やったしな・・・・。行きたいなぁ。

ちょっと財布の中味を見てみる。残り70ドルくらいやな。やっぱし、夕食除いても50ドルが限界やな・・・。あ〜あ、行きたいなぁ。

 

ウトウト…。

 

 

おっ、みんな帰ってきたな。

 

「ほな、ビーチ行くで」と青木君。あ〜、やっぱりビーチで締めくくるんやな。

「みんなあとどれだけ残ってんの?」ちょっと参考までに聞いてみる。

「20ドル!!」アカンやん。みんながみんなよく似た金額言ってくる。小山さん!!いつから浪費家になったんや!!  …ヘヘって笑ってる場合ちゃうで。

「あんなぁ、さっきちょっと寝てたんやけど、夢見たんよ。タロフォフォの滝までタクシーで連れていけって」

 

・・・・。

 

「行ってきたら? おにぃ、むっちゃ行きたがってたやん」と、青木君。そりゃ、一人ででも行く覚悟やけど50ドルしか無いんやで。どうやって行くんよ。

「フロントと相談してみ。なんか方法あるって!!」

「…ん。そうしてみようかな。」

 

で、みんなはビーチスタイルで、僕は素の格好で部屋を出る。おっと、谷口君はジーンズやな。

「谷口君はどこ行くの?」

「ビーチはもうええさかいに、『アカンタ・モール』行ってコーヒーでも買ってくるわ」(…アカンタモールやって。)

「そっか、僕、やっぱりフロントに聞いてみるわ」

「ん。」

 

 

で、フロントに。みんな鍵を預けて遠巻きにしばらく様子をみてる。

 

「あの、タロフォフォの滝に行きたいんやけど、タクシーやったらどれくらいかかる?」

「ええっ!!!、タロフォフォまで?! タクシーやったら200ドルはかかるで!やめとき。」

 

・・・・。

 

そらそやわな…。島の反対側やもんな。ヤレヤレ…。

 

「ゴメーン!!、みんなビーチ行きかけて!!」そう叫ぶ。

みんなやれやれって感じでホテルを出ていった。

 

ほんとにやれやれだよ。

 

「普通やったらレンタカーだよ。」突然フロントのお兄さんがそう言う。

「いくらすんの?」

パンフレットを見せてくれる。

おおっ!!!! 一番ランク下のターセルでも3時間が28ドル!!!! OK予算範囲内や!!

「伊藤さんレンタカー借りるの!!なら僕も行く!!。」なんや、谷口君まだ居たんかいな。

「ホレホレ、ターセルで28ドルやで」

「伊藤さん、僕もお金出すわ!!」えらい乗り気やな。(でも、お金ないんちゃうん?)

「なぁ、タロフォフォまで3時間やったら帰ってこれる?」フロントに聞いてみる。

「絶対に無理!!」

ということでは6時間コースやな。それでも38ドルか。

「免許はあるんでしょ?クレジットは?」

「どっちも持ってる」

「じゃぁ、問題ないよ。タロフォフォはいい所やで〜」オイオイ挑発してるよ。「ほら、ここの電話、直通やから直ぐに借りられるよ。日本語でOKやし」

なんや、ダラーレンタカーのまわしものか…。どうする?谷口君…。谷口君の顔色を見てみる。

おっ、行く気マンマンやな。

「じゃぁ、借りよっか!!」で決定。早速受話器を上げる。

久しぶりに流暢な日本語に出会う。

「10分後にロビーに迎えにくるって!!」 準備して出発やっ!! …そや、道がわからんわ。「地図って持ってる?」

「ここには観光用の地図しかないよ。でもレンタカーに頼んでみるよ。」

「ありがとう!!」

「楽しんできてね」

フロントにお礼を言って部屋に戻る。

 

 

すごいなぁ、現実になるんや!!すごいな!!

でも車の運転自信ないなぁ。右車線、左ハンドルやろ。

2人エレベータを待つ。

「谷口君、運転したい?」とりあえず聞いてみる。

「えっ、伊藤さんやってーな。へへへ。」

そらそやわな。自信ないなぁ。ま、いいか。言い出しっぺやし。

「ん。」

 

 

で、カメラ機材やら三脚やら両脇に抱えてフロントへ。もう、2人は撮影モード全開や。

おっ、谷口君5千円握り締めてフロント行ったよ。

…換金か。ノリノリやな。

 

 

 

 


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